初回となる今回は、これから先の様々な経験や出会いに向け、お互いを知り合うプログラムを中心に身体と心をほぐすワークを行いました。

❶ 身体と心の準備

内側から身体を揺らしたり、揺らす身体の下の地面や周りの空気を意識しながら、体操を行いました。自分の体に関心を持つことと、関心のあり方を変えていくことを意識しました。

  1. 地面に寝っ転がる。
  2. 自分の右腕を上げて、ゆすってみる。(腕のをゆらすことを意識する)
  3. 足を上げて、ゆすってみる。(体の中側の細胞の一つ一つに働きかけるようにゆする)
  4. 腰をゆらゆらさせてみる。そのゆらゆらが全身に伝わる感じを味わう。
  5. なるべく筋肉を使わずに、怠け者のように起き、立つ。
  6. 少し飛び跳ねて身体をゆする。(足の裏から振動が伝わる感覚を意識する)
  7. 少し飛び跳ねながら腕をぶらぶらさせる。立った状態でも体の中がゆらゆら揺れるように意識する。(腰骨の中を緩めるように)
  8. ゆらゆらと揺らす軌道の中で八の字を描く。(手のひらで空気に触れていることを意識する)

❷ 自己紹介のような他己紹介

2人ひと組になり、お互いの手を模造紙にトレースした後、設定された質問を元に相手にインタビューを行いました。最後にインタビューをした相手を他の参加者に紹介しました。初対面の参加者同士の緊張を少しづつほぐしていくワークでした。

  1. 全員に模造紙とペンを配る。2人ひと組になる。
  2. お互いの紙に組んだ相手の手の外線をペンでトレースする。
  3. 1人3分間づつ、組んだ相手にインタビューを行う。質問の答えを、相手の手をトレースした紙の周りに書き込んでいく。

    質問内容:

    • 名前
    • 生まれた場所(出身地)
    • 私の手が好きなこと (犬を撫でる、植物の世話をする、タバコを挟む、、、)
    • 参加の動機/きっかけ
    • 「あわい」について思うこと/イメージすること
  4. 他の参加者にインタビュー相手のことを紹介する。

参加者のインタビューの答え(一部):

  • 私の手が好きなこと:犬を撫でる、お茶を手順に沿って入れる、布を触る…
  • 参加の動機/きっかけ:言葉以外の表現を見つける、他の人の出会い方や記録のとり方を知りたい、物事と深く出会いたい、他の人のあわいについて知りたい….
  • あわいについて思うこと:常にそこにある、窓の外に見える雨と空と森が滲むあの風景、石を遠くの水に投げてできる波紋、色と色の滲み、あわいがないと怖い、白か黒かではなくあわいに居たい…

❸ 分身作り

3人ひと組になり、協力しながらお互いの体の一部を新聞紙とガムテープで型取りしました。自分の体の一部を型取りすることにより、自身の身体を外在化し、普段とは違う形で眺めてみることを経験しました。また、「型を取る作業」に徹することで、普段意識する人との距離感を少し和らげるワークでした。

  1. 3人ひと組になる。
  2. 新聞紙をちぎる。
  3. ちぎった新聞紙とガムテープを用いて体の好きな部分を型取りする。
  4. ハサミで型を切って体から取り外し、切り口をガムテープで止める。
  5. 中に新聞紙を詰める。
  6. 部屋の好きな場所に型を展示する。

※ これを3人分、お互いに協力して行う。

「分身作り」参加者の感想:

  • 意外とでかいな。
  • 手首は細いんだな。こんなに太さが違うんだ。
  • 自分の体のサイズ感が違うんだな。こんなに厚みがあるんだな、と発見。
  • 体積感を感じたことがなかった。上から覗くとここに骨が入っているんだな、と、新鮮だった。
  • 大竹伸朗がジャイアント馬場のことを大きな筒と言ったけれど、自分もそう思った。
  • 普段自分の体、人の体の見えるところは限られている。新聞紙を巻いたりしながら、ぐるぐる回してみると色んな角度から見えて興味深い。
  • 今日は座った状態で型をとったが、違う姿勢でとったらまた形が違うのかなと思う。とってみたい。
  • 普段ものを見ているときにアウトラインでしか見てないんだなと改めて思った。実はそのアウトラインの中に、凹みがあったり、もりあがりがあったりする。
  • 意外とリアルな形をしている。生々しい。

花崎さんから:

  • 手でやる作業があると人は他人のそばに寄ることができる。初対面だったり、ジェンダーを意識するとそばに寄りにくいけど、作業があるとそばに寄れる。通常はパーソナルスペース、バリアがある。人によってその距離感は違う。ものをつくること、手ですることがあると簡単にバリアを突破してしまう。
  • 自分の体は一定の角度からしか見られない。中を見るということはない。見ているようで実は見ていない。
  • フィールドノートを作ること、あるいは必要に応じてフィールドノートを共有するとき、自分から自分の気づきを他者に伝えていくためにどうすることができるのか、どうやって外に出すのか?
  • 今回作っているものは本物とは違うが、いつも見慣れているはずの自分の身体の一部をどうやって違う視点、違う角度で見るのか、例えば、見ることのできない身体の中の容積の感じを見るのか?そして、それを誰かに伝えるためにどうしたら人と一緒に見たり触れたりすることができるのか?そういうことの一つの例となるかなと思う。デッサン、スケッチ、彫刻、言葉にするなどさまざまな方法がある。そういうことの一つとしてやってみた。